※レビュー部分はネタバレあり
サミュエル・L・ジャクソン演じる農夫とクリスティーナ・リッチの演じるはすっぱな娘がひょんなことで出会うことで始まるドラマ。
アメリカ南部のとある田舎町。
ささやかながら農業を営みながら敬虔な信仰を持って暮らす初老の老人、ラザラスと恋人が軍に志願して寂しさに耐えきれない少女レイが出会うことから物語が始まる。
ラザラスは妻が去ってから、築き上げたささやかな幸せが音をたてて崩れ去り、孤独な毎日を送っていた。一方のレイは幼いころのトラウマが元となってセックス依存症になっていた。
いつものように男を求めて祭りに出かけたさきで暴力を振るわれ、道路に倒れていたところをラザラスに介抱される。それが2人の出会いだった。
【映画データ】
ブラック・スネーク・モーン
2006年 アメリカ
監督 クレイグ・ブリュワー
出演 サミュエル・L・ジャクソン,クリスティーナ・リッチ,ジャスティン・ティンバーレイク
映画:ブラック・スネーク・モーン 解説とレビュー
※以下、ネタバレあり
心に深い傷を負う少女と孤独な老人を繋ぐブルース。
ブルース・ミュージシャンのサン・ハウス(1902〜1988)のインタビュー映像が象徴的に使われる。彼のメッセージはラザラスのメッセージそのもの。
サン・ハウスのかわりにサミュエル・L・ジャクソンがその歌声を聴かせてくれる。
全体的な印象はこれぞ、ミニシアター系という映画ですね。依存症を抱える人とそれを癒そうとする人、でもその人も傷を抱えていて…という構図。
完璧な人なんていなくて、皆が抱えるそれぞれの痛みに喘いでいる。誰かに傷つけられながら、その傷をいやすのもまた人間であって、お互いに依存しながら癒されていく。
よくある脚本に見えますが、この作品を心にのこる異色のものとして良作としているのは、全体を通して流れるブルースの調べ。
そして完全にうまくはいかないだろうこれからの日常。それでも希望があるのは2人がお互いに支え合っているから、でしょう。
最近は性依存症を扱った作品が増えてきました。ドキュメンタリーも含めて複数観ましたが、ドラッグを扱う映画同様にこれから増えていきそうです。
ハリウッド俳優でもこの病気を告白して、治療に臨んだ人たちが何人かいますね。マイケル・ダグラスやデヴィッド・ドゥカブニー(『Xファイル』のモルダー役)など。クリントン前大統領もそうです。
性依存症はアルコール依存やドラッグ依存と同様の依存症で病気の一つとして認知されつつあるものの一つです。この病気になる原因には虐待経験や過度の社会的ストレスが挙げられています。