※レビュー部分はネタバレあり
ふと目覚めると正方形の部屋にいた。
部屋には前後左右上下に6か所のハッチ(小さい扉)が付いている。そのハッチを開けると隣の部屋にも同じ形状の部屋があり、やはり6つのハッチが付いている。さらに部屋にはトラップがあり、うかつに進むと命を失うようだ・・・。
果たして、出口はあるのか…。極限状態における人間の精神状態と独特のCUBEというシチュエーション。新しいスリラーのジャンルを確立した作品。
評判通りの面白い映画だ。
CUBEとは一個一個の部屋のことを言い、この一辺が4.2mの立方体が積み重なって一つの集合的な立方体を形成しているらしい。そしてその集合体の外壁は一辺130mの立方体で、両側約8.4mを空けている(立方体内に立方体がある)。
さあ、内部の立方体の集合体には立方体の部屋がMAX全部でいくつあるでしょう?
死の罠は壁面に格納されていて、発動させずに通過するか、発動させてもよけられればその部屋を通過できる。死の罠がない部屋もあるので、参加者はできるだけ死の罠のない部屋をさがすことになる。
そしてその罠のない部屋を見つけるための法則が各種展開されるが、初見で理解できる人は数学が得意な理系かなぁ。ほとんど分からなかった。分からなくても楽しめる映画ですが。
監督はこれが初監督作品で、サンダンス映画祭を始めとした各地映画祭で話題をさらった。
【映画データ】
CUBE キューブ
1997年・カナダ
監督 ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演 モーリス・ディーン・ウィント、デヴィッド・ヒューレット、ニ コール・デボワー
映画:CUBE,キューブ 解説とレビュー
※以下、ネタバレあり
★続編と1作目の『CUBE』
CUBEの続編として『CUBE2』、『CUBE ZERO』が制作されました。
2作目はストーリー的につながりはないし、監督・キャストも違います。
実際にシリーズ全てを鑑賞してみましたが、2作目は1作目のグロさをUPしただけで新しさがありません。
では、3作目はどうでしょう。
3作目の『CUBE ZERO』は1作目『CUBE』の前日譚という位置づけです。なので、一部メンバーの名前が1作目と同じになっていますが、監督・キャストは違います。そして、3作目はCUBE建設に関わるストーリーが付け加えられています。
が、そもそもCUBE自体のストーリー性は薄いので、どれほどの意義があるのかわからないですね。CUBEの生みの親で1作目の監督ヴィンチェンゾ・ナタリは、1作目でCUBEが造られた由来にほとんど触れていません。それよりも、このCUBEの面白さはCUBEの仕組みや脱出方法を考える方にあるのではないでしょうか。
本作はシチュエーションスリラー、ゲームスリラーというジャンルの先駆けです。このジャンルでは、登場人物そのものよりも、登場人物の置かれた限られた環境設定、その舞台装置の面白さの方が重要になるなどいくつかの共通点があるといえるでしょう。
同様のジャンルとされるものにSAWが挙げられます。SAWでは手錠で部屋の両端につながれた2人の脱出の可否が試されます。
アイディア勝負なので、低予算作品が多いジャンル。人気が出れば、2作目以降が製作されるが駄作と評価できる場合が多いように思います。
個人的には駄作というよりは、この手の作品の宿命で、舞台設定やアイディアが命なので、どうしても続編は使い回し・焼き直しになってしまうからだと思いますが。
★CUBEから脱出するためのルール
※以下は正しいかどうかは分かりません
まず、数字が刻まれたプレートの発見及び参加者に数学の得意な者がいること、数学科学生の眼鏡のみ持ち込まれていることを踏まえて、数字が何らかの暗号であるとの結論に達します。
@素数理論
罠のある部屋にある番号はいずれにも素数が含まれていることから導かれた理論。
A因数の数の理論
各番号の因数の個数がトラップの有無を決定するというもの。因数の個数が1個ならそこは罠のある部屋ということになる。
Bデカルト座標の理論
部屋番号が(123,456,789)ならば、(1+2+3,4+5+6,7+8+9)→(6,15,24)という三次元の座標を示すとの説。
ここで、部屋の数が重要になる。先に述べたように一辺130mの外壁から両側の空間8.4m×2=16.8mを引く。130m - 16.8m = 113.2m。
よって、内部の立方体の一辺は113.2m,
これを各部屋の一辺4.2mで割り算すると 113.2m ÷4.2m = 26.95という数字が出る。
すなわち、内部の部屋の集合体の立方体は一辺26個の立方体から成ることが分かる。
以上から、26の座標がある部屋は内部立方体の一番端の部屋で、かつ座標も26以上は存在しないはずである。しかし、そこで、27という数字が見つかることからこの理論は崩壊する…。
でも、座標を示すという概念の発見は重要であり、27番目の部屋は外界への架け橋になる部屋である可能性が生じることになった。
C順列組み合わせ移動の理論
Bの座標はあくまで初期値を表わしていて、後に部屋が数字に従って規則的に移動しているとの説。
仲間が死亡した部屋に再度戻った際に、隣接していた部屋がないことから展開された。
ここから先は残念ですが、難しいので説明に自身がありません…。順列に従って引き算をするのですが、よく分かっているかどうか。以下は一つの考え方としてどうぞ。
まず、(a,b,c, d,e,f, g,h,i)という座標は初期の位置がBの理論から(a+b+c, d+e+f, g+h+i)であることが分かります。
次にCUBEが移動する位置は、
(a+b+c, d+e+f, g+h+i) + (a-b, d-e, g-h) = (2a+c, 2d+f, 2g+i)
さらにCUBEが移動すると、
(2a+c, 2d+f, 2g+i) + (b-c, e-f, h-i) = (2a+b, 2d+e, 2g+h)
その次にCUBEが移動するのは、
(2a+b, 2d+e, 2g+h) + (c-a, f-d, i-g) = (a+b+c, d+e+f, g+h+i)
すなわち元に戻ることになります。
つまりは、どのCUBEも3回目には初期位置にリセットされることになります。そして、27番目の外界へつながるCUBEに近い位置にそのときいれば外へ抜けられることになります。
以上で、理論的説明は終わり。いかがでしょうか。
でも、仮に、C順列組み合わせ方式で動いているとすると、CUBEがスライドするスペースが必要になるんじゃないの?
外壁と内部の集合体との間にはCUBE2個分以上の空間が空いてるから十分なのかな?
内部の集合体と外壁にはCUBE2個分のスペースが空いてるのに、1個の架橋でいいの?
謎が多い…のか、考え方が間違っているのか分かりません。もうちょっと数学を勉強しとくと、この映画楽しかったかな…。考えていると次から次へと疑問が湧いてきて飽きない映画です、CUBEは。
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