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1408号室

映画:1408号室 あらすじ
※レビュー部分はネタバレあり

 1408号室。そこに泊まった者に訪れるラストは死。
スティーヴン・キング原作のホラー1408号室。解説とレビューでは1408号室を2回に分けて結末までのすべてを解説します。
1408号室解説とレビュー続きはこちら

1408号室


 オカルト作家のマイク・エンズリン。

 超常現象のうわさを元にいわくつきの場所に行くなど、次の本のネタになるものを探していた。プライベートでは妻とは離婚寸前の状態。娘を亡くしてからというもの、ふたりにはすれ違いが目立っていたのだ。

 その彼がある日、一葉のはがきを受け取る。

 そこには「1408号室にはいくな」というメッセージがあった。たちまち興味を惹かれた彼はすぐドルフィンホテルの1408号室に行くことを決める。

 1408号室を電話で予約しようとしても、ホテルは1408号室の宿泊を拒否、それでも出向いたマイクを待っていたのは支配人のオリンだった。

 オリンはマイクを説得し、1408号室には行かないように告げる。その部屋に入った者は1時間と持たずに死ぬというのだ。オリンの必死の説得にも関わらず、1408号室に泊まることをあきらめないマイク。ついにマイクは鍵をうけとるのだった。

 果たして1408号室で襲いかかる数々の怪奇現象。彼は無事1408号室を抜け出すことはできるのか。ラストまで目が離せない衝撃の展開。



【映画データ】
2007年(日本公開2008年)・アメリカ
監督 ミカエル・ハフストローム
出演 ジョン・キューザック,サミュエル・L・ジャクソン,メアリー・マコーマック



1408号室


映画:1408号室 解説とレビュー
※以下、ネタバレあり

★ラストはこれです。

 さて、ラストが気になる1408号室。

 結論的には、マイクはあの部屋から抜け出せませんでした。あの部屋から出て来たのはもう一人のマイク。
 本当のマイクはあの世へ連れて行かれてしまいました。

 マイクの妻は最後にそのことに気がつきました。

 レコーダーから流れてくるのは夫と死んだはずの娘の声。そして、二人であの世に行くことを約束するマイクの声でした。妻に聞かれたことに気がついたマイクの表情はどこか不敵です。むしろ、レコーダーの録音を妻に聞かせたかったかのようです。

 彼を装っているのは何者でしょうか。
 それは悪魔です。1408号室に来るようにマイクを装ってパソコンを通してしきりに妻をおびき寄せようとしていたのもマイクのふりをした悪魔でした。

1408号室


★1408号室という場所は何のためにあるのか?

 1408号室は何のための場所だったのでしょうか。この場所の理解にはキリスト教の思想が強く影響しています。

 マイクは信心深いキリスト教信者ではないことは確かです。無神論者かもしれません。

 娘の死に際しても、妻と娘が天国の話をしているのを聞き、くだらない話をするな、と妻にいうほどです。
 マイクは神はおろか、いわくつきの1408号室のことさえ信じていません。オカルト作家でありながら、マイク自身は一切、超常現象を信じていません。

 キリスト教では、「信じる者は救われる」、と説きます(ヨハネの福音書3章)。この文章の主語は主イエスを指します。

 人間は死を恐れます。その恐れにつけ込むのが悪魔です。悪魔は死を恐れる人間の弱さに目をつけて、人間を誘惑します。死ぬ前にもっと楽しいことをしようとそそのかすわけです。その結果、人間は数々の悪行をこの世でしでかします。

 ならば、最後の審判を恐れて、人間がやけくそでこの世で悪いことをしないように、誰かが罪を被ればいいわけです。
 その罪を被って死んだのはイエス・キリスト。

 マイクは何も信じるものがありませんでした。もちろん、天国を信じていない以上、主イエスの存在も信じていなかったでしょう。

 イエスを信じる者は、その罪をイエスが背負うので審判を受けずに天国に行くことができます。しかし、マイクはイエスを信じていませんから、この世の所業には自分の身をもって償わねばなりません。

 1408号室ではそれまで自分がやってきた所業がすべて白日のもとにさらされる場です。少しでも心に弱みがある者はそこを突かれます。

 1408号室はあの世とこの世の境。審判を受ける場であり、地獄への入り口でした。

1408号室


★1408号室のカウントダウンは何のため?

 1408号室のカウントダウンは地獄への扉が開くまでの時間。
 それまではこの世とあの世が入り混じる時間です。

 最初はマイクも完全にこの世にいました。空調を治しに来た黒人男性と喋っていますし、パソコンを通して妻とも話しています。

 しかし、次第に悪魔の力が強くなってきて、この世から引き離されて行きます。そして見るのは、パソコンを通して妻と話すもう一人の自分。それは悪魔。

 次に見るのは病院にいる自分と妻。娘を病気で亡くして以来、ぎくしゃくしていた彼女が自分の元に駆けつけてくれたという幸せ。
 マイクが心の中で求めていた妻との和解でした。再び1408号室に戻った彼は今度は亡くした娘に会います。

 彼女への愛情がマイクの心を満たした後に訪れる現実はやはり、娘が死んでいるということでした。娘はマイクの腕のなかで砂となって流れ去ります。

1408号室




★★1408号室 『解説とレビュー続き』に続く★★
長くなるので、分割します。御面倒ですが飛んでください→ここ
続きでは
★なぜ、カウントダウンが終わったあとに再びカウントダウンが始まったのか?
★★サミュエル・L・ジャクソン演じるホテル支配人オリンは何者?
★★★宗教映画としての1408号室
★★★★1408号室の心理描写
★★★★★1408号室というタイトルの意味
を考察します。

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この記事へのコメント
6×3は18ですよ?
Posted by 訂正 at 2010年01月06日 03:22
深読みしすぎ(笑)マイクは部屋から出たんだよ(笑)


妻はマイクの話を聞き、マイクが精神的にやられたと疑っていたが
録音テープの娘の声を聞き、信じる。で号泣
Posted by at 2010年05月21日 05:28
コメントありがとうございました。

6×3の話は1408号室『解説とレビュー続き』の方にて、解決いたしました。ありがとうございました。

さて、ラストの解釈についてのご意見もいただきました。
ラストについては、確かにおっしゃる通り、マイクは無事、部屋から脱出し、妻と再会できたという筋書きにも解釈することができるでしょう。

しかし、妻が脱出後に聞かされたマイクの話を疑っていたという描写はありませんでした。確かに、最初に、連絡を受けた妻は半信半疑でしたが、1408号室が炎上し、命からがら助かった夫を見て、それでもマイクに起きた事の真偽を疑うでしょうか。

それに、テープは決定的な証拠です。1408号室で起きたことを間違いなく証明してくれるものになるはず。それなのに、このテープをマイクが進んで妻に聞かせなかったのはなぜでしょう?マイクの話を妻が疑っているなら、マイクは自分からテープを再生して妻に話を聞かせたのではないでしょうか。

妻がテープを聞いたのは、全くの偶然でした(あるいは、悪魔によって仕組まれた偶然)。マイクがテープを聞かせようとしたわけではなく、妻が探し当てて聞こうとしたわけでもありません。

それに、テープに録音された内容は、マイクが娘と共にあの世へと旅立つ約束をする、という内容です。

他のどの場面でもない、マイクと娘の声が入った場面、かつ、2人であの世へ行くことを約束する場面。この場面をあえて妻に聞かせ、妻の凍りつくような表情を見て、満足げな笑みを浮かべるマイクはまさしく、悪魔その人であると思います。

私は、自分の解釈を押し付けるつもりはありません。一通りの解釈しか許さない映画ほどつまらないものはない、と思います。そして、ご意見を頂くことについては本当に嬉しく思っております。

また、感想・ご意見等ございましたら、お気軽にどうぞ。
Posted by 管理人Naoko.H at 2010年07月09日 20:12
原作では普通に出れてましたが・・・
Posted by at 2010年07月21日 13:56
7月21日にコメント頂いた方に返答いたします。お返しが大変遅くなりまして申し訳ございません。

映画に原作がある場合、原作と映画の関係はたびたび議論になりますね。個人的には、映画を観る前、あるいはレビューを書く前に原作までフォローしていることはほとんどありません。

従って、このサイトに掲載している映画レビューのほとんどは映画内で得られた情報のみに基づいて書かせて頂いております。

他のレビューでも、映画の原作についてのご指摘を頂いたことがありましたので、そちらでつけたコメントを転載しまして、ご返事にかえさせて頂きます。

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個人的には、映画と原作は別物として考えております。原作がある映画は多いですが、映画を観ている観客は原作を知らない者が多数であることを前提に映画は作られているものであり、映画は映画として、完結した作品であることが原則だからです。

一方で、2時間という時間枠がある以上、映画にはつみこみきれない部分が生じる可能性はあります。また、映画と本、あるいは映画とゲームのように、映画と違う形態をとるものが原作である場合、表現手法の違いから、メッセージが明確になったり、逆に不明朗になってしまうこともあります。

そのような状況では、読み取りきれないメッセージは原作から補完することができるかもしれません。その場合でも、映画と原作は別物である以上、原作の意識を補充的に映画に用いて解釈することが重要ではないでしょうか。
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コメントありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。
Posted by 管理人Naoko.H at 2010年10月15日 20:42
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