※レビュー部分はネタバレあり
21グラム。それは人が死んだときに軽くなるという重さ。
ナオミ・ワッツ,ショーン・ペン,ベニチオ・デル・トロ,シャルロット・ゲーンズブール。屈指の演技派俳優たちが織りなす命の物語。
解説とレビューでは21グラムのあらすじを映画の始めから結末まで時系列順で完全再現。
さらにラストシーンの解説、21グラムの結末後に待ち受けるこれから、そして映画にこめられた21グラムの秘密を解説しています。

夫と2人の幼い娘と幸せに暮らすクリスティーナの家族。
そして、病気で余命1カ月の大学教授のポールとその妻メアリーの夫婦。
刑務所で服役していたが、出所後に定職を持って立ち直り、今は平穏な毎日を暮らすジャックと妻、その幼い娘と息子の家族。
突然起きたひき逃げ事故をきっかけに、交り合うはずのなかった運命が交差する。
人は死んだときに何を得、何を失うのか。生と死、愛と憎しみ。たった21グラム。人間の魂を揺さぶる何かがそこにある。
【映画データ】
21g (21グラム)
2003年・アメリカ
監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演 ショーン・ペン ,ナオミ・ワッツ ,ベニチオ・デル・トロ ,シャルロット・ゲーンズブール

映画: 21g (21グラム) 解説とレビュー
※以下、ネタバレあり
21グラムは時系列を交差させる構成で少々複雑です。まずは時系列順にあらすじで21グラムを再構成してみましょう。
一気に結末までネタバレして書いていますので、ラストを知りたくない方はお気をつけください。
★21グラムの時系列順あらすじ
ポールは病気で自宅療養と入院の繰り返し。妻のメアリーとは別居していたが、ポールが余命1カ月となり、ポールの子供が欲しいとメアリーは最近ポールの元に戻ってきている。
メアリーは不妊治療に熱心だが、ポールはそれほど関心がない。メアリーはかつてポールとの子を中絶した過去があるが、夫には話していない。
ジャックは刑務所から出てきてまだ日が浅いが、友人のつてを頼って就職し、今は落ち着いた生活を家族とともに送っている。彼は信仰に目覚め、教会に熱心に通っていた。
クリスティーナは家族円満、幸せな毎日。
しかし、ある日突然に、娘と夫をひき逃げ事故で失う。夫は脳死状態になり、クリスティーナは心臓移植の書類にサインした。
そして、夫の心臓は大学教授のポールに移植された。もちろん、クリスティーナは誰に移植されたかは知らない。ポールもドナーの名前を知らされない。
クリスティーナの夫と娘2人をひき逃げしたジャックは動転して帰宅する。自宅でパーティを開いていた妻は驚き、慌てて客を全員帰らせる。そして、ジャックからひき逃げしてしまったと聞く。
思わぬ事態に妻は動転する。彼女は泣きながら夫の車を洗車して、車から血の跡を全て洗い流す。ひき逃げの痕跡を消すためだった。そして彼女は夫の出頭を引きとめようとするが、ジャックはすでに出頭する決意を固めていた。

心臓移植手術は成功、ポールは無事に回復し、妻とともに自宅で退院祝いのパーティをする。その席上で妻のメアリーが不妊手術を受け、人工授精で妊娠するつもりだと客に話してしまい、夫婦の仲には隙間風が。
さらに、医者からメアリーの中絶手術の過去を知り、夫婦仲の亀裂は決定的になってしまう。
ポールは自分に心臓を提供したドナーを私立探偵を使って調べ上げ、ジャックの起こしたひき逃げ事故によって、クリスティーナの娘2人は死亡、夫がポールのドナーになったことを知る。
ポールはクリスティーナのあとをつけ回す。そして、ジムで初めてクリスティーナに話しかけ、夜にクラブで泥酔した彼女を彼女の家まで送る。ある日、彼女をランチに誘い、好きになったと告白するが、クリスティーナは夫がいると言ってポールを拒絶する。
しかし、その日の夜にクリスティーナがポールの自宅に電話をかけてくる。すぐに来てほしいというクリスティーナ。彼女は家族を一度に失った苦しみに耐えきれず、情緒不安定になっていたのだった。
ポールはクリスティーナの家に行き、彼女を慰めるが、彼女に自分がクリスティーナの夫から心臓移植を受けたことを話すと彼女はポールを再び拒絶。ポールを家から閉め出してしまう。
ポールはクリスティーナの家の前に停めた自動車の中で夜を明かす。翌朝、ポールの車に気がついたクリスティーナが車にいるポールのところにやってくる。クリスティーナはポールを受け入れたのだった。

ポールには心臓移植の拒絶反応が起きており、激しいおう吐に悩まされる。医者の診察を受けたポールは2回目の心臓移植手術をしないと死ぬことが分かる。
ポールは入院するよう勧められるが、死ぬなら外で死にたいといって拒絶する。
ポールは久しぶりにクリスティーナの家から自宅に帰るが、妻のメアリーは怒って家を出ていく。ポールはクリスティーナの家で暮らすようになる。クリスティーナはドラッグを止められず、ヒステリックに泣くことが多かった。
彼女はポールに「夫と娘を亡くした辛さが分かる?」といって彼を責め立てる。さらにポールは、クリスティーナにひき逃げ犯のジャックを殺すように要求される。
一方、ジャックは警察に出頭した後、拘置所に入れられるが、妻が大枚をはたいて弁護士を雇う。そして、証拠不十分で釈放。
ジャックは釈放書にサインして拘置所から家に帰ることができた。しかし、彼は罪悪感にさいなまれており、子供にも親子をひき殺したことを尋ねられる。ついに耐えきれなくなった彼は妻子を置いて家を出ていく。

ジャックはモーテル暮らしをしている。ポールとクリスティーナはジャックと同じモーテルに宿泊し、彼の働いている採石場のすぐ脇を車で通り過ぎながらジャックの姿を確認する。
ある日の早朝、ポールはクリスティーナの寝ているすきに、モーテルの駐車場でジャックを呼び止め、銃で脅して彼のすぐわきの地面を撃つ。ポールは今すぐここから立ち去れとジャックに命じ、それから彼を解放する。
クリスティーナはポールがジャックを殺したと思い込み、モーテルの部屋でポールを休ませるが、そこにジャックが踏み込んでくる。彼はポールに自分を撃つように迫り、ポールとジャックはもみ合いになる。
ポールは床に落ちたグラスを踏み割ってしまい、ジャックに跳ね飛ばされるが、クリスティーナはジャックを室内灯の柄でめった打ちにする。
クリスティーナがジャックを殺してしまうと思ったポールは、クリスティーナに止めろ、と声を出して止めようとするが、移植の拒絶症状が酷く、弱っていたポールにはその声を出す力がない。
そこで、ポールは最後の手段に出る。左胸を自ら撃ったのだ。そこで我に返ったクリスティーナはポールの元に駆け寄る。そしてジャックの運転する車で病院に運び込み、緊急手術を受けさせる。
輸血が必要と言われ、クリスティーナは自分の血を献血するが、違法ドラッグを多用していたクリスティーナの血は使い物にはならなかった。その代わり、彼女が妊娠していることが発覚。
手術は成功し、ポールは一命を取り留める。病院の待合室の窓辺に立つクリスティーナ。ジャックは彼女から一歩離れたところに立ちつくすのだった。
21グラムのあらすじは以上です。

★長すぎるので、映画:21グラム ( 21g ) 解説とレビューを2つに分けさせていただきます。すみません。
★ラストシーンの解説
★★ポールとクリスティーナ、ジャックのこれから
★★★21グラムの意味
これらのテーマで続編の解説とレビューをお届けします。
追記:映画:21グラム ( 21g ) 解説とレビュー 続きをアップしました→ここ
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